Grünes Haus

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情報に騙されない思考力を身に付けよう!「原因と結果の経済学」を読んでみた

こんばんは、keyです。

これから生きていく上で、新しい情報を得たときに間違った解釈をしたくないため、思考トレーニングとして「原因と結果の経済学」を読みました。

 

・メタボ検診を受けていれば長生きできるのか

・テレビを見せると子供の学力は下がるのか

・偏差値の高い大学へ行けば収入は上がるのか

「イエス」と答えた人は多いはずだ。

しかし、経済学の有力な研究は、これらをすべて否定している。

 

他にも本の中には、今までみたことあるような、事象に対する異なった解釈の例がでてきます。

本を読む前は、「なんとなく違うだろ~」程度にしか判断できませんでした。

本を読了したあとには、具体的に指摘しつつ否定することができるようになります。

 

 

 

内容

第1章 根拠のない通説にだまされないために
「因果推論」の根底にある考えかた

まず初めに、因果関係と相関関係の区別を明確にします。

その後、因果関係かどうかをチェックする項目を示してくれます。

このチェック項目内容は、因果関係を考えるうえでかなり重要な考え方だと思います。

 

因果関係があるかどうかを考えることを「因果推論」といいます。

因果推論という言葉をここではじめて知りました。

因果関係を証明するためには、事実と反事実が必要です。

しかしその反事実自体が、因果推論の根本的問題であることを言っています。

それに対し、どのようにすればよいかを教えてくれます。

 

因果関係を示唆する根拠をエビデンスといいます。

エビデンスには、レベルがあります。

そのレベルを、「エビデンス・ピラミッド」で説明してくれています。

エビデンス・ピラミッドは、大きく4つの階層に分かれています。

上のレベルに行くほど、エビデンスレベルが高いという形になっています。

これもかなり重要な考え方で、普段の生活にも適用できる考え方です。

 

 

第2章 メタボ健診を受けていれば長生きできるのか
因果推論の理想形「ランダム化比較試験」

因果関係の証明のために、「ランダム化比較実験」という考え方が登場します。

ランダム化によって、「人間が行う選択」によるバイアスを排除するという考え方です。

 

また、一部で効果を検証したうえで全体に適用することで、コストも無駄にしなくて済む、というような考え方も得ることができました。

 

 

第3章 男性医師は女性医師より優れているのか
たまたま起きた実験のような状況を利用する「自然実験」

 

ランダム化比較実験により得られたデータ(実験データ)は価値がありますが、実験にコストがかかりすぎます。

日常的な経済活動の結果、得られたデータや政府の統計調査などから得られたデータ(観察データ)を、「あたかも人為的な実験が行われたかのような」状況を見出すことで、実験を行う方法があります。

 

観察データから因果関係を証明する方法の1例として、この3章では、「自然実験」が紹介されています。

自然実験とは、かもランダム化比較実験を行ったかのような状況を見出すことで、2つの変数の因果関係を明らかにしようとする方法です。

事前に予想できなかった何か(外生的なショック)によって、介入群と対照群にはからずとも分かれてしまったという状況を利用します。

 

 

第4章 認可保育所を増やせば母親は就業するのか
「トレンド」を取り除く「差の差分析」

観察データから因果関係を証明する方法として4章では、「疑似実験」を紹介しています。

観察データと統計的な手法を用いて、あたかもランダム化比較試験を実施しているような状態を作り出そうという実験です。

 

ここから先は、疑似実験の中の具体的な手法を紹介していっています。

その一つに、ここでは「差の差分析」を紹介しています。

差の差分析は、前後で結果を比較する分析手法である「前後比較デザイン」を改良したものです。

二種類の差を通して、介入群と対照群を分けて、介入の効果を推定します。

 

 

第5章 テレビを見せると子どもの学力は下がるのか
第3の変数を利用する「操作変数法」

疑似実験の1つで、5章では「操作変数法」を紹介しています。

操作変数とは、結果には直接影響を与えないが、原因に影響を与えることで間接的に結果に影響を与えるような第3の変数のことです。

操作変数法とは、この操作変数を利用して、因果関係を明らかにする方法です。

 

 

第6章 勉強ができる友人と付き合うと学力は上がるのか
「ジャンプ」に注目する「回帰不連続デザイン」

疑似実験の1つで、5章では「回帰不連続デザイン」を紹介しています。

連続的な値のカットオフ値(特段の理由もなく決まった恣意的な値)前後では、値や特徴があまり変わらないことを理由します。

カットオフ前後を介入群と対照群に分けて、カットオフ値での「ジャンプ」があれば因果関係がある、と言えます。

 

 

第7章 偏差値の高い大学に行けば収入は上がるのか
似た者同士の組み合わせを作る「マッチング法」

疑似実験の1つで、5章では「マッチング法」を紹介しています。

マッチング法は、共変量(結果に影響を与える要素)を用いて、介入群によく似たペアを対照群の中から選び出すことによって2つのグループを比較可能にする方法です。

 

複数の共変量がある場合(多くの場合は複数)、その教へj料をまとめて1つの得点にしたものを用いてマッチさせるプロペンシティ・スコア・マッチングという方法があります。

 

 

第8章 ありもののデータを分析しやすい「回帰分析」

因果関係の評価に適さないデータしかないときは、「回帰分析」を用います。

回帰分析は、単回帰分析と、重回帰分析に分かれます。

 

単回帰分析」とは、2つの変数の関係を評価する方法です。

交絡因子(原因と結果に影響を与える変数)が存在する場合、影響を取り除けません。

 

重回帰分析」とは、交絡因子の影響を取り除いたうえで、原因と結果の関係を評価する方法です。

仮にすべての交絡因子のデータがあれば、因果関係を証明することができます。

 

 

 

補論① 分析の「妥当性」と「限界」を知る

 ここでは、特にランダム化比較実験の妥当性や限界について言及しています。

 

妥当性とは、2つの変数の間に因果関係があることの確からしさです。

妥当性には2種類あり、内的妥当性と外的妥当性があります。

内的妥当性」とは、研究の対象となった集団に、同じ介入で同じ結果が再現される程度です。

外的妥当性」とは、研究の対象とは異なる集団に、その介入を行った場合の同じ結果が再現される程度です。

 

ランダム化比較実験の限界については、5項目に分けて説明されています。

 

 

補論② 因果推論の5ステップ

因果推論を行う際の、まとめ的な5ステップをまとめています。

1章でのチェック項目は、この5ステップの中の3つ目に位置しています。

他の章で紹介した実験なども、5ステップの中の1つとして位置しています。

 

 

 

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感想とまとめ

まず初めに言っておきたいことは、「経済学」という部分はあまり気にしなくていいということです。

原因と結果に関する考え方を知りたければ、読んで大丈夫です。

内容自体も、かなり簡単な言葉で、簡単な説明で行われています。

 

読んでみて、相関関係と因果関係がそもそもどのように違うのか、ということを改めて考えるきっかけになりました。

そもそも「原因と結果」に関する考え方は、日本ではあまり取り入れられていませんが、海外の大学では一般教養として習う内容のようです。

一冊を読み終わった感想としては、小さい頃から原因と結果に関する考え方のトレーニングは日本でも必要であると感じました。

 

日本のメディアが流している情報は、間違っていることもあります。

その間違っているか間違っていないかを見る視点は、トレーニングしなければ身に付きません。

「原因と結果の経済学」を通して、因果推論の考え方のトレーニングが少しはできたのかなと思います。

しかし「原因と結果の経済学」自体かなり簡易な内容であり、他の本や、日頃のニュースに対する見方などでさらにトレーニングする必要があると思います。

因果推論のためのツールとして、本の中で統計学的な手法を紹介しています。

しかし方法論は詳しくは載っていませんでしたので、他の専門書を見る必要があります。

様々な手法をざーっとみることで、どのようなときにどのような手法を用いるのがいいのかという考え方は身についたと思います。

 

「原因と結果の経済学」で得た大きな収穫として、エビデンス(根拠)の深さに関する概念を知ることができました。

このエビデンス・ピラミッドの概念は、ほかの分野にも適用できる本質的な概念だと思います。

 

「原因と結果の経済学」を通して、まさしく原因と結果を考察するための土台はできたと実感しました。

原因と結果について、軽く知識をつけたい方には「原因と結果の経済学」をオススメします。

 

以上で今回の記事を終わりたいと思います。

最後まで見ていただきありがとうございました!